最近よく耳にする「ユーザーファースト」。日本語では、「お客様は神様です」という三波春夫先生の言葉が思い出されるが、それとはちょっとニュアンスが違う。「お客様の言うことはなんでも聞きます!靴も舐めます!」という感じではなく、どちらかと言えば「顧客第一主義」に近い感じだ。日本人としては「いまさら」の感覚は否めないが、マネージメントの中では再び脚光を浴びているのは事実だ。つまり数多くのお客様を継続的に獲得するために、自らの利益のみを重視するのではなく、いかにして顧客満足度を高めるかというのが、ユーザーファーストの根本的概念だ。
ユーザーファーストを実行するには、「お客様の身になって考える」というの姿勢が大切だ。マーケティング戦略を構築していく上でも、もちろん新商品の開発・製造をする際も、お客様目線に立っていかに受け入れてもらえるかが鍵となる。言い換えるとユーザーファーストとは、企業が事業を営むあらゆる場面において、製品やサービスにお客様目線を取り入れ、それを踏まえて意思決定を行うという考え方だ。会議でも「このサービスって、ユーザー目線に立っているの?」とか「このキャッチフレーズって、ユーザー目線で書いている?」とか使われ、この概念が欠落している制作会社はクライアントに責め立てられることとなる。
ではどうして「ユーザーファースト」の手垢のついた概念が、再びスポットライトを浴びているかと言えば、インターネットやスマートフォンなどの普及で、消費者が大量の情報にアクセスできるようになったからと言えるだろう。かつてのように情報ソースが、テレビや新聞といったオールドメディアに限られていた時代であれば、CMや広告制作で製品やサービスの良さをアピールしていれば、売り上げを伸ばすことができた。しかし誰でも大量情報にアクセスできる現在では、競合会社との比較がカンタンにできるようになった。いくら企業が自社製品の良さをアピールしても、ユーザーは他社製品と比べて欠点を知ってしまうのだ。かつてビデオの規格で、ベータ・VHS戦争なるものがあったが、現在なら「ビデオを買うならコレ!ベータvs VHS 」なる比較サイトが増え、国民総動員で対決は激化したかもしれない。そして最終的に勝つのは、大型電気店などの市場を握る企業ではなく、ユーザーファーストの強い意思を持つ企業となるのだろう。
豆大福(マーケッター)
「売れるWebデザイン」を提唱するアジャの頭脳。
アジャの企業コンセプトである「もっと売れる表現を!」を実現化させるために、
デザインの感性にマーケティング論を融合させる社内随一の論理派。